第1章 「整える」という時間が、体と心に流れをつくる
ゴルフを続けていくと、飛距離やスコアとは別の “もうひとつのテーマ” が、静かに私たちの前に現れます。
それは、
「体をどんな状態で保っていくか」
「これからの自分とどう付き合っていきたいか」
という視点です。
特に私たちの世代は、日々のデスクワークや生活習慣の積み重ねで、
股関節・背中・肩まわりに“動きづらさ”が宿りやすくなります。
けれど体は、少し丁寧に向き合うことで、ゆっくりと流れを取り戻していきます。
この章では、そんな“整えるための7つのアプローチ”を紹介していきます。
複数選ぶ必要はなく、あなたの暮らしに自然に馴染むものを、ひとつ見つけられたら十分です。

7つの「整える」カテゴリーを選出
以下に、それぞれの特徴を比較しやすいようにまとめました。
| カテゴリー | 主な働き | 特徴 | 始めやすさ | こんな方におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| 呼吸法 | 緊張をゆるめ、動きをスムーズに | 1分でできる切り替え | ◎ | 力みやすい/疲れやすい |
| ストレッチ | 可動域を広げる | 習慣化しやすい | ◎ | 股関節や肩が重い日がある |
| 姿勢改善 | 骨格のバランスを整える | 効果を感じやすい | ○ | デスクワーク中心の方 |
| ヨガ | 全身をしなやかに使う | 呼吸と動きが連動 | ○ | ゆっくり整えたい |
| ピラティス/マシンピラティス | 体幹の安定・インナーマッスル強化 | 姿勢軸を整え、しなやかな動きが身につく | ○(スタジオ通いなら△〜○) | 体幹・股関節を安定させたい人 |
| 体幹トレ | 軸が安定しやすい | 短時間でできる | ○ | フォームがぶれやすい |
| ゴルフ筋トレ | 下半身や背中を育てる | 継続で変化を感じやすい | △〜○ | 体力を育てたい |
取り入れやすい順番
何を始めれば良いかわからない。
そんな声に応えるために、始めやすい順に並べてみると──
- 呼吸法(無料・1分)
- ストレッチ(無料・習慣化しやすい)
- 姿勢改善(短時間で変化を実感しやすい)
- ヨガ(総合的に整うが、時間が必要)
- ピラティス/マシンピラティス(姿勢軸が整い、インナーが使いやすくなる)
- 体幹トレ(軸がしっかりしてくる)
- ゴルフ筋トレ(体力を育てたい時に)
これは、
「体に無理をかけずに、小さく始められる順番」という考え方です。
気が向いた日に“少しだけやってみる”それくらいの軽さで大丈夫です。
続けようとしなくていい。あなたのペースで触れることが、結果的に長く続く道になります。
股関節との関係をひと目で整理
股関節は、回る・歩く・踏ん張る──ゴルフの土台となる場所。
7つのアプローチがどこまで股関節に働きかけるかをまとめると、こうなります。
| カテゴリー | 股関節との相性 |
|---|---|
| ストレッチ | ◎ 可動域を広げやすい |
| ヨガ | ◎ しなやかさが育ちやすい |
| 姿勢改善 | ○ 骨盤が整うと動きやすくなる |
| ピラティス/マシンピラティス | ○〜◎ 安定性(支える力)が育つ |
| 体幹トレ | △〜○ 安定性が増し動きがスムーズに |
| 呼吸法 | △ 緊張がゆるむことで動きやすくなることも |
| ゴルフ筋トレ | △ 強化が中心 |
あなたの体がどんな状態で、どんなふうに動きたいか。
そのヒントになるはずです。
あなたに合う「整え方」を見つけるために
以下は読者が自分で選びやすくするための“気づきのヒント”として書いています。
柔らかさを育てたいとき
- ゆっくり呼吸したい
- 全身の巡りを作りたい
→ ヨガ・ストレッチ
デスクワークで固まりやすいとき
- 股関節の詰まりを感じる
- 姿勢を整えたい
→ 姿勢改善・ストレッチ
しなやかさと安定感を同時に育てたいとき
- 体の“つながり”が弱いと感じる
- 軸はあるのに、動きがぎこちない
- 呼吸と動きを合わせたい
→ ピラティス/マシンピラティス
フォームを安定させたいとき
- 軸がぶれやすい
- 再現性を高めたい
→ 体幹トレ・姿勢改善
体力を底上げしたいとき
- 長いラウンドでも疲れにくくしたい
- ゴルフの飛距離を伸ばしたい
→ ゴルフ筋トレ
体は、その日の気分や疲れによっても欲しいアプローチが変わります。
だからこそ、たくさんの選択肢を知っておくことが大切です。

まとめ
何かを始めるとき、特別な準備はいりません。
今すぐスタジオに通ったり、費用をかけて環境を整える必要もありません。
YouTubeなどの動画を見ながら、自宅で“ちょっと試してみる”だけで十分です。
もしそれがあなたに合っていると感じたら、
そのとき初めて、スタジオを見学したり、もう少し深く学んでみてもいい。
興味が複数あるなら、気分に合わせて色々と自宅で試してみてください。
『楽しい』『心地いい』と感じられるものは、自然と長続きします。
そして、その小さな積み重ねこそが、心と体に穏やかな変化をもたらしてくれます。
\ 次回予告 /
次の章では、“整える流れのいちばん入口” にある 呼吸 を取り上げます。
深く息を吸い、ゆっくり吐く。
それだけで、体のこわばりがほぐれ、スイングの力みが和らぐこともあります。
呼吸は、すべての動きの土台。
第2章では、その理由と今日から取り入れられる小さな実践をお届けします。
静かに流れをつくる最初のステップを、一緒に踏み出していきましょう。
